2020年7月22日水曜日

水の子供 第10章

「まぁ、パパ、こんなに絵が上手だった?」
クリスは、小さなテーブルの上に置いてあったスケッチブックを手に取った。
「湖の絵ね?それと男の子?パパの子供時代?」
それを聞くまで上の空だったマイケルは、急に声を出した。
「お、お、おと、こ、、こ、こど、も、」
彼必死に絵を指差した。
「パパの知っている子?」マイケルは、うなずいた。「な、な、み、きけん!」「き、きけ、ん!」彼は激しく絵を叩いた。
「分かったわ!落ち着いてパパ!」こういう時は、看護師を呼んで下さいと、施設から言われていた。

クリスは、看護師への呼び出しベルを急いで押した。
看護師は、すぐに来てくれた。

「あらあら、ちょっと興奮してしまったのね。貴方に会えて、よっぽど嬉しかったのかしら?」
看護師は、手慣れたように、マイケルの腕に注射をした。「これで、しばらく落ち着くはずよ」
「この絵を見て、こうなったのよ」

「まあ、、あら?」
「何です?」クリスは、心配になった。

「今ニュースで、湖の近くで、行方不明になった子供の話で持ちきりだったものだから」
「父は、子供が危ないとか言っていましたが、、」
「待っていて。警察に連絡するわ、、」

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