2020年7月22日水曜日

水の子供 第3章

トンプソンは、無線で色々な指示をしていた。「ええ、規則は分かっています。ただこちらは、何せ広い田舎なもので、早く動かないと、後で大変な事になる可能性が大ですよ。」きっとどこかのお偉いさんと、話しているのだろう。彼女は、イライラしながらも根気強く応対していた。度々彼女は、赤毛のショートヘアーの前髪をかきあげていた。

やっと通信が終わったようで、トンプソンは、アマンダに「もう暗くなって来ているので、明日朝からお子さんを探しましょう」と言った。

「そんな!明日なんて、遅すぎるわ!」

「ええ。すみません。奥さん。ところで、今夜お泊まりする所は、ありますか?とにかく、ひと休みしていただきたいのですが?」

「ええ。この反対側にコテージを貸りています。」
理屈では分かっていた。今は、どうにもできないと、、
どうせ一睡もできないのだ。
イライラして待つ程、1分1分経つのが、とても遅くみえた。

そうこうしているうちに、やっと夫のレニーが辿り着いた。
「アマンダ!」
「レニー!」
夫が来てから、アマンダはずっと1人で
抱えてきた恐怖を、やっと誰かと分かちあえる事に、奇妙な安心感が宿った。

夫が、てきぱきとトンプソンと話をしていた。

ふとアマンダは、雑貨屋の窓から見える湖を垣間見た。何もなければ、何て素晴らしく美しい光景だろうか?と、思う程だった。


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